SICは長年にわたるR&Dにより築いた技術およびソフトを基に、これからも新しい技術に挑戦し続けていきます。
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先端分野
糖鎖自動前処理装置 SweetBlot
全自動糖鎖プロファイル診断システムの開発
生体試料から糖鎖を自動抽出する装置の実用化に成功
JST研究成果展開事業(先端計測分析技術・機器開発プログラム)の一環として、システム・インスツルメンツ株式会社と北海道大学大学院先端生命科学研究院の開発チームは、生体試料から糖鎖注1)のみを自動で抽出できる装置の実用化に成功しました。
詳細は技術資料をご覧ください。
先端分野
有害微生物・ウィルスの複数・迅速・検出装置
「高精密・効率化・データ処理」+「使いやすさ」を追求する開発方針
東京農工大学 池袋教授が世界で初めて開発したジンクフィンガー蛋白質を用いて2本鎖DNAを検出する方法で、複数の有害微生物・ウイルスを迅速に検出する装置と試薬を開発する。
感染症等が発生した場合に、早い時点での検知により、医療・介護費用を抑制し、健康で安心して暮らせるための予防を目的とする。
また、同時に世界に先駆けたバイオ関連技術・新産業を創出する。
開発の背景
東京都知事本局発信の「10年後の東京 ~東京が変わる~」
第3章の5世界に先駆けて超高齢化社会の都市モデルを創造する
- 高齢者が社会の様々な場面で活躍し、超高齢化社会を活性する
- 誰もが安心して暮らせる地域社会の実現を目指す
- 生涯にわたって健康に過ごせ、質の高い医療をうけられる環境を創出する
高齢化社会では、生産年齢の人達による、時間の負担あるいは金額の負担を効率良く少なくするには高齢者の集団的生活が不可欠となると予想する。その時、容易に予想される事は免疫機能の低下した高齢者の集団的生活を支える要因の一つに今回のプロジェクト支援事業の意義がある。
即ち、いち早く健康に害を及ぼす有害微生物やウィルスを検出し、予防対策が早くなされる事は、単に本プロジェクトの成功による機器や試薬の売上以上に、莫大な医療費、介護費用を抑制する経済的効果・社会的効果が得られる。
(ジンクフィンガー蛋白質は、Znフィンガー蛋白質と記載される。)
Znフィンガー蛋白質を用いて2本鎖DNAを検出する方法の優位性
東京農工大学の池袋一典教授を中心とする研究グループはPCR増幅産物を2本鎖のままジンクフィンガー蛋白質を用いて検出する基本的な方法(特開2005-52061、「ジンクフィンガー蛋白質を用いる標的核酸の検出方法」)の開発に成功し、この技術を応用して病原性微生物を確認済みである(特開 2008-92948、「検体中の標的核酸を検出するためのキットおよび方法」)。
この方法の基本原理は、以下のように簡便なものである。
- 微生物DNAをPCR増幅し、2本鎖DNA(以後、ds-DNAと略す)を得る。
- 増幅したds-DNAを2本鎖のままジンクフィンガー蛋白質で捕捉する。
- 捕捉したds-DNA結合ジンクフィンガー蛋白質を発光試薬で検出する。
本成果は、PCR産物の塩基配列の確認方法としては、プローブDNAとのハイブリダイゼーションの検出しか考えられていなかったところに初めて二本鎖DNAに特異的に結合するジンクフィンガー蛋白質の応用を提案した画期的なものであり、核酸分野で最高峰の学術誌であるNucleic Acids Research誌(,36(11),e68(2008))に掲載され国際的に高い評価を得ている。
有害微生物・ウィルスが持つ特異的な遺伝子をPCR増幅し、その二本鎖DNA産物を、その塩基配列を特異的に認識するルシフェラーゼ融合Znフィンガー蛋白質を用いて発光検出する。
今後の応用範囲
独自のZnフィンガー蛋白質を用いたPCR産物の正確、迅速な検出法を応用し、食品産業や医療・診断産業でニーズの高い、簡単、迅速、高感度で複数の有害微生物・ウィルスが検出できる。
検出対象として、サルモネラ、レジオネラ、インフルエンザ、大腸菌0157株、カンピロバクター、その他であり、使用環境として、食品検査機関、食品製造・加工工場 医療・診断機関を対象としている。
専門用語の解説
- Znフィンガー蛋白質
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核酸に結合する蛋白質で、生体内では蛋白質の合成を制御する転写因子として働くものが多い。
真核生物には全て存在し、非常に多数の種類が存在する。二本鎖DNAの塩基配列を特異的に認識できるのが特長で、人工転写因子、人工核酸切断酵素としての応用が報告されている。 - ルシフェラーゼ
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ルシフェリンとATPを基質として非常に効率よく生物発光反応を触媒する。
極めて効率よく発光反応を触媒するので極微量(fMレベル)のATPを検出するのに実際に利用されている。
ATPは微生物の生命活動の指標とされるので、極微量の微生物検出にも産業応用されている。
先端分野
簡易遺伝子検査方法
HDGP法の原理
日本大学畠山先生の提唱されるHDGP法 (Hyper Detection of infectious disease based on Genome Profiling:総合的病原微生物感染症診断手法)はこれまで行われてきた遺伝子検査法とは、全く異なった概念に基づいた手法である。
通常の遺伝子解析は対象となる遺伝子断片を限定してその違いを比較するが、HDGPでは遺伝情報不明のサンプルであっても解析ができるため、未知病原や外来種であっても問題なく検出できる。
また、交配品種の親を同定できるため、産地偽装や違法交配品種の同定が可能となる。
開発の背景
近年の社会情勢・地球環境の変化によって、人類が遭遇しなかった諸問題が起きている。
具体的には
- ①食の安全に関する問題
- ②違法交配品種の製造販売
- ③外来生物の侵入と在来種の減少
- ④新型感染症の出現
これら諸問題はいずれもその原因を特定することである程度解決することができる。
しかしながら原因同定方法は問題ごとに個別に対応してきたため、情報を共有することができなかった。
これら4つの問題点の共通項目を検索したところ、生体情報の比較は容易であることが明らかとなった。
そこでHDGP法によりこれらの生体情報を比較することで、この問題を解決することが可能となる。
HDGP法の優位性
基盤技術となるHDGP法は、DNA増幅断片を限定しないPCRにより、ゲノム構成の違いを測定することが可能であるために、得られた情報はそのまま、その生物種を特定する情報を有することになる。
基具体的には人の指紋を識別するように遺伝子で生物種を識別するものであり、その違いは特定の生物種に固有のものとなる。
基そのため、従来技術では比較不可能であった、異生物種間の比較も容易に行える上に、同種同属の生物の識別も行えるなど、非常に解像度が高い検出技術である。
今後の応用範囲
- 産業的に価値のある製品に対する動植物食品の品質管理(同一産地、産地の違いを同定)
- 環境モニタリング品種管理:特許侵害、外来生物の流入状況把握と在来種の保護
- 違法交配種の追跡調査感染症診断:全ての感染症診断(動物・植物・人・昆虫など)を一つの手法で識別できる診断手法の確立